私が保守契約(毎月の更新作業を代行する契約)を結んでいるクライアントに対して始めたことは、レポートをまとめて提出し、説明するということである。
そんなことかと思われるかもしれないが、これが今までは出来ていなかった。
レポートには下記内容をまとめている。
(1)今月の更新実施内容(※実行)
(2)先月の提案内容の実施状況(※実行)
(3)毎月のアクセス状況(※検証)
(4)そこから考えられるサイトの問題点、ユーザーニーズの仮説(※検証、仮説)
(5)改善のための今月の提案(※仮説)
(1)は、先方が要求した更新内容に対して、きっちりと更新作業をやっていますよという、証拠付けである。打ち合わせには様々な部署の担当者が集まるので、更新した内容に関連する部署だけでなく、全体に対して認識統一をしてもらう。
レポートは毎月提出するので、もちろん先月に提案した内容の実施状況を説明しておかなければならない。これが(2)の部分である。(1)との違いは、(2)はこちらからの提案に対する実行ということである。(1)だけだと、前回の記事に書いたように単なる御用聞きになってしまうのだ。
提案だけで実行しなければ、口だけの提案と何ら代わり映えしない。ただの自己満足である。もちろん、実行に際してはクライアントの了承を得て、必要な資料を準備してもらう必要がある。
Webサイトは公開したら終わりではない。「仮説(提案)→実行→検証」というプロセスの繰り返しで、効果が出てくるようになるのだ。この(2)は、このプロセスにおいて「実行したよ」ということを示すものである。
(3)は、サイトのアクセス解析レポートであり、「検証」にあたる。実施した提案に対して、アクセス状況にどのように影響を与えているのか?改善されたのか?について検証するのである。(2)の効果が出ていれば、クライアントは満足するであろう。効果が出ていなければ、さらに仮説を立てるのである。
また、アクセス解析を行なうことにより、新たな問題点、改善の余地を発見することができる。その問題はなぜ起きているのか?を考える。それが(4)である。
最後はこの問題点に対して、どのような改善策をとればよいのかを提案する(5)。
そしてこの提案に対してクライアントの同意、了承が得られれば、次に実行のためにクライアントに何を準備してもらう必要があるのか?、それはいつまでに準備してもらい、いつごろアップロードするのかについて話し合うのである。
提案した(5)は、打ち合わせ後、取り決めたスケジュールに沿ってすみやかに実行し、その結果を来月のレポートの(2)に示すことになる。
このように、「仮説→実行→検証」のサイクルをレポートに組み込むことで、次のようなメリットがあると私は確信している。
(1)毎月のレポートにより、Web制作者側の実績が確固たる証拠として残る。実績に対して評価してもらえる。
(2)レポートそのものが、クライアントにとってサイト改善の歴史、ノウハウとなる。
(3)担当者がその上司にこのレポートを提出すれは、上司も納得させられる。
(4)レポートは毎月クライアントを教育していることに繋がる。より突っ込んだ打ち合わせができるようになる。実績を伝えることで、こちらの考えも理解してもらえるようになる。
(5)レポートはWeb制作会社のノウハウ集となり、他のスタッフへの生きた教材になる。
(6)もし私が会社を去った場合でも、そのノウハウは会社に残ることになる。
いいことばかりのようだが、時間と考える力のいる仕事である。しかしWeb制作会社は、クライアントからどの面を評価されるのかを考えるとき、それはWebサイトの見栄えだけではない。見栄えに対する評価は一人一人違う、好き嫌いがあるあいまいなものである。それよりも
「Webサイトが成功したかどうか?」
これに尽きると思っている。見栄えだけのあいまいな評価ではなく、数字で納得させる。それができれば、クライアントからの信頼を得られるであろう。
こういうノウハウが蓄積されれば、コンサルティング業務のような、制作より利益率の高い仕事にも繋がっていくと思う。
分かり易く説明できたかどうかは分からない。参考までに最近、いい本を見つけたので紹介しておく。
このところ自分自身の課題に対して、必要な情報は向こうからやってくるようになった。
●アクセスログ解析の教科書
今回のようなレポートを書くにはアクセス解析をしっかりできなければ、問題点を発見し、仮説を立てることができない。その意味でこの本はいい指標になる。
●売るためのサイト構築テクニック―SEM時代を制するキーワード選びと購買率アップ術
実際のコンサルティング、改善事例、改善のための考え方がコンパクトにまとめられていて参考になった。
